自然科学書出版  近未来社
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  地質・土木技術者のための
地質構造解析20講
菊判(並製)・398頁 定価 3,981円(税込)
ISBN978-4-906431-17-8〔初版発行日/2003.5.26〕
 〈ニューフィールドサイエンス・シリーズ Vol.1〉
Key Words  花崗岩・断層の判定・水平に近い断層・断層面・シーティング・褶曲の形と
でき方・天にのぼる褶曲・小構造と大構造・定説というものはない

From the text
 深田研に来てから,時々現場を見てくれという依頼があり,そこは野次馬根性旺盛なもので出かけていって,ダムサイトや建築の基礎地盤を見せてもらったり,説明してもらっているうちに,もう少し露頭で見られる構造が教えるところをきちんと理解した上で地質構造解析をやればいいのにと思うようになりました。地質構造解析といっても,ある地域の地質構造がどうなっているかを明らかにするというごく普通の仕事ですが,これがなかなか簡単でなく機械的なマニュアルに沿ってデータを出してまとめればそれでできあがりというわけには行かないことが理解されていないのではないかと思いだしたわけです。〈中略〉日本のように露頭の状態がよくないところでは,ぽつんぽつんとでてくる露頭で見られるのは小規模の地質構造だけで,それが全体のどういう位置にあって,どういう部分を表しているかをいつも推理してゆかなければなりません。それには眼前に見られるいろんな小構造やら岩質やら堆積構造やらのもっている意味を理解するのが第一歩です。それに見えない全体を想像するのですから,知識の量 だけでなく想像力だって必要なのです。

 まえがき

<第1講> 花崗岩の中の断層 −花崗岩中の割れ目イコール節理ではない−
 ○節理と断層の定義
 ○花崗岩体内部の割れ目系のモデル
 ○筑波山地南部花崗岩体中の割れ目系
 ○筑波花崗岩体中の断層セットの前後関係
 ○断層運動の性質と大構造の解釈
 ○割れ目のもつ力学的な意味

<第2講> 断層の判定 −ちゃんと断層面をみなければだめだ−
 ○断層の見かけの変位
 ○真の変位を求めるにはどうするか
 ○条線からスリップの方向を決める方法
 ○真の変位から推定されること

<第3講> すでに割れている岩体におきる断層運動 −割れていると難しくなる−
 ○不均質な岩体の中での断層運動
 ○既存の割れ目がまた動く場合
 ○既存の割れ目上で変位がおきる条件(2次元の場合)
 ○3次元の場合
 ○既存の面上ではどの方向にすべるか
 ○既存の割れ目と斜交する新しい断層面の生成
 ○再び筑波花崗岩類の割れ目
 ○〔補講〕法線が
σ1軸と角θ をなす面に働く応力ベクトルの接線成分

<第4講> 断層はなにをあらわしているか
−部分から全体の推定−
 ○断層の観察
 ○応力場と外力
 ○小構造から大構造を推理する
 ○小断層系を拡張しても広域応力場にならない場合
 ○褶曲の一部分にできる応力場
 ○地質構造における境界条件の意味

<第5講> 水平に近い断層 −案外たくさんある水平な断層−
 ○アルプスの水平に近い押し被せ断層
 ○アルプスの地質調査
 ○ナップは長距離を動いた
 ○ナップを動かす力
 ○横移地塊の移動メカニズム
 ○大構造から小構造へvs小構造から大構造へ

<第6講> 重要なのは水平すべりだ −デコルマンの流行−
 ○アパラチア造山帯での例
 ○サブダクション帯の例
 ○変動帯内部の衝上断層帯
 ○地すべりの化石−葛生石灰岩
 ○葛生石灰岩を含む地帯の構造
 ○葛生石灰岩体は昔の海底地すべり体ではないか
 ○地すべりを示す小構造の例

<第7講> 断層面は平面ではない −大構造の中の小構造−
 ○地下深くでの断層
 ○リストリック断層
 ○共役な系での現象
 ○正断層でできる地溝帯
 ○正断層でなくても地溝はできる
 ○大構造の発想

<第8講> 節理とはなんだ −割れ目はきちんと判定せよ−
 ○節理の定義
 ○節理の性質
 ○断層と節理の見分け方
 ○節理に見えるが実は断層という例
 ○節理はどうやってできるか
 ○方状節理の謎

<第9講> 水平な節理 −シーティング−
 ○断層が動いているのを見た人
 ○ユニフォーミタリアニズムとカタストロフィズム
 ○夜な夜な節理ができる話
 ○インドで見たシーティング
 ○なぜ薄く剥がれるのか

<第10講> 褶曲にはいろいろある −褶曲の形とでき方の関係−
 ○褶曲といっても1種類ではない
 ○褶曲軸と褶曲軸面
 ○平行褶曲あるいは同心円褶曲あるいは円筒状褶曲
 ○相似褶曲
 ○ディップ・アイソゴンで定量的に分類する
 ○流れたような形の褶曲
 ○メカニズムに基づいた褶曲の分類

<第11講> 褶曲は中身を詳しく −曲げたりすべったり−
 ○褶曲は変形の場所をあらわす
 ○褶曲の断面形とでき方の関係
 ○単一の板(地層)の曲げと座屈
 ○複数の地層を曲げる
 ○地層面上のすべり
 ○曲げすべり褶曲の形
 ○次のメカニズム−すべり褶曲あるいは剪断褶曲
 ○曲げすべり褶曲との違い
 ○すべり褶曲(?)のできるところ
 ○流れ褶曲
 ○構造レベル

<第12講> 岩石も流れる −流れるとはどういうことか−
 ○曲げ流れ褶曲の幾何学
 ○ドナス&パーカー両氏の褶曲の分類
 ○曲げ流れの流れとはなにか
 ○褶曲した地層の中でなにがおきているか
 ○宍喰海岸の褶曲の粒子配列の推定
 ○弾性波速度の変化とNDCの方位
 ○層の厚さと粒子の配列とは強い関係がある

<第13講> 褶曲と仲のいい割れ目 −曲がるにつれてできてゆく割れ目−
 ○褶曲の中にできた断層
 ○断層ができた時の状態
 ○褶曲に伴う地層の割れ目系
 ○複数層の中にできる劈開面とその屈折
 ○劈開の屈折から地層の上下が分かる
 ○地層と斜交する断層系を使った上下判定
 ○板状劈開面と地層面の関係による上下判定

<第14講> 波の中にまた波 −褶曲の中にできる波は意味深長−
 ○褶曲のオーダー
 ○二つのオーダーの褶曲の関係
 ○ドラグ褶曲を使って褶曲軸のある方向や地層の上位方向を知る方法
 ○実際の例いくつか
 ○ドラグ褶曲での上下判定は万全ではない
 ○逆ドラグはほんとうに後生変形か
 ○スランプ構造にもドラグのように見えるものがある

<第15講> 褶曲はどっちにつながる? −天にのぼる褶曲−
 ○いろんな褶曲包絡面の配置−水平に近い包絡面
 ○ジュラ山脈の水平な褶曲包絡面
 ○鉛直に近い包絡面
 ○アルプスでの例
 ○褶曲軸が鉛直になる褶曲の場合

<第16講> 褶曲の波の不思議 −モデルと実際−
 ○ラザフォード卿の切手蒐集
 ○板の座屈−どうして波になるか
 ○ビオの褶曲モデル
 ○プティグマティック褶曲の例
 ○粘性流動では変形の経路が問題

第17講> 褶曲が重なってつくる立体像 −地表に表れる模様−
 ○変形の重複
 ○無砂谷の重複褶曲
 ○流れ褶曲の場合
 ○蓮華変成岩で
 ○地域的な重複褶曲の推定
 ○二つの褶曲がつくる干渉模様
 ○地表面に目玉模様ができる複合褶曲
 ○飛騨片麻岩の中にもみられる

<第18講> 応力分布を計算で −地質屋の好きな数学−
 ○応力の釣り合い方程式
 ○変形した物体内に働く応力の釣り合い方程式
 ○変形した物体内の応力場
 ○適合条件
 ○小構造と大構造の関係をもう一度
 ○筑波山塊の構造の例
 ○モデルを考えた筋道
 ○もう一つの例−葛生の石灰岩

<第19講> 大構造を推定する −ちょっと気取って数学的に−
 ○小構造から大構造を知る面白さ
 ○小構造をつくった外力はなにか−アルプスの褶曲の例
 ○アイルランドの割れ目系の例
 ○境界の問題
 ○地質構造の境界条件の意味
 ○応力関数を使う解析の限界
 ○複雑な応力関数と境界条件

<第20講> とらわれない精神 −定説というものはない−
 ○新しいヒマラヤ・チベットの構造解釈
 ○造山運動の名前
 ○シューさんの造山運動群島モデル
 ○中国の構造への適用
 ○構造地質学とテクトニクス

 あとがき
 引用・参考文献
 用語索引
 人名索引

【著者略歴】
佐藤 正 (さとう ただし)
 昭和3年新潟県刈羽郡南鯖石村(現在柏崎市に編入)に生まれる.幼時石油探査櫓が向かいの山に立ち並ぶのを見て育つ.昭和28年東京大学理学部地質学科(旧制)を卒業,卒業論文は三陸海岸の志津川層群アンモナイト生層序.短い大学院時代を経て昭和31年東大理学部助手,1年後フランス政府給費留学生として渡仏,パリ大学理学部(旧制)で研究を続け,途中CNRSの研究員になる.この間アルプス地方を見学する機会を得,地質構造への興味をかき立てられる.昭和35年同大学から理学博士の学位を取得する.学位論文は「日本のジュラ紀アンモナイトの生層序」.

 帰国後昭和36年に東京大学助教授となり,東南アジアの地質古生物調査にしばしば参加し,タイ・フィリッピン・台湾・マレーシア・インドネシアなどの地質調査に従事する.この頃から層位学から構造地質学に興味が移ってゆき,国内でも断層の解析などを始める.

 昭和49年新設間もない筑波大教授に就任し,主として構造地質学を教える.開学当初は設備が不十分であったので野外調査を指向し,筑波山地や関東地方周辺の山地をフィールドに地質構造解析を手がけた.昭和52年から53年にはパリ第6大学の客員教授を兼任する.教員の人手不足から次第に大学行政に関わるようになり,自然学類長,企画調査室長や博士課程長などから副学長までやる。同時に政府関係委員会などにも関わり,その間研究もおろそかにすまいと努力するが,やはり活動度が下がるのを防ぐことができない.中でも昭和63年末から第29回万国地質学会議(IGC)の組織を主導し,平成4年に京都で会議を開くまで時間・エネルギーの多くをそのために費やす.

 平成3年筑波大学を定年退職し,兵庫教育大学に転任し平成5年まで在任する.筑波大時代から東南アジア諸国の政府間機構であるCCOPの地質構造図作成計画を指導し,平成14年に最後の数値地質構造図を出版するまで10年以上この計画に関わる.平成8年秋財団法人深田地質研究所に招かれ理事長に就任.平成12年夏には国際地質科学連合(IUGS)の副会長に選出され,これが最後の公的な活動だと自らに言い聞かせながら同連合のために働く.
 業績は日本および東南アジア諸国のジュラ系層序やジュラ紀アンモナイト,日本とくに関東地方を中心とした地質構造解析,東南アジア諸国の地質構造図作成など.論文,著書など多数.



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