自然科学書出版  近未来社
since 1992
 
    自然災害(地盤災害)
千木良雅弘 著
  高レベル放射性廃棄物
   処分場の立地選定
千木良雅弘 著

  災害地質学ノート
大八木規夫 著
  増補版/地すべり地形判読法
千木良雅弘 著
  写真に見る 地質と災害
千木良雅弘 著
  深層崩壊
千木良雅弘 著
  崩壊の場所
千木良雅弘 著
  群発する崩壊
石田 毅 著
  岩盤破壊音の科学
千木良雅弘 著
  風化と崩壊

    自然災害(地震災害)
金折裕司 著
  断層地震の連鎖
飯尾能久 著
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金折裕司 著
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長尾年恭 著
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金折裕司 著
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金折裕司 著
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金折裕司 著
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高橋 保 著
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高橋 保 著
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高橋 保 著
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  ノンテクトニック断層
吉田英一 著
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吉田英一 著
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深川昌弘 著
  上手な本の作り方 Q&A
深川昌弘 著
  これからの自費出版−虎の巻−
千木良 雅弘(深田地質研究所/理事長・京都大学名誉教授)著
深層崩壊 −どこが崩れるのか−
Deep-seated catastrophic landslides−where are potential sites?
A5判(上製)・232頁 定価 3,457円(税込)
ISBN978-4-906431-39-7〔初版発行日/2013.10.15〕
 〈近未来科学ライブラリー・シリーズ Vol. 14
Key Words  2009年台湾小林村・2011年紀伊山地・悠久の歴史と深層崩壊・重力
変形斜面・巨大内陸地震と深層崩壊・地震による降下火砕物の崩壊

From the text
 深層崩壊は発生頻度は低くてもその影響が極めて大きいことから,実態を明らかにして何らかの対応を考えていかなければならない。我が国の7割は山間地なのである。都市に住んでいる人は山間地で起こることに無関心でありがちだが,決して他人事ではないことを十分認識しておく必要がある。人口密集地帯のすぐ近くには山地が控えており,いつ深層崩壊・天然ダムの形成,といったことがおこり,都市部が脅威にさらされるかわからない。深層崩壊は甚大な災害を引き起こす。それは,土石の直撃だけでなく,土石の河川への突入場所から何百メートルも遡上する津波,そして,天然ダムが決壊した時の下流への洪水による災害である。上流方向への津波の波及は,台風12号による崩壊が津波を引き起こして上流の水力発電所を破壊したことに端的に表れている。2008年の中国ウエンチュアン地震では,30を超える天然ダムが形成され,最大の唐家山地すべりの場合には,その決壊洪水を恐れて,下流の綿陽市で100万人が避難した。1707年の宝永地震の時には,富士川で天然ダムが形成された後に決壊し,下流に洪水 災 害を引き起こした。このように,都市部といえども深層崩壊と無縁ではないのである。これは,1000年の都の京都も含めてのことである。

 まえがき

<第1章> 深層崩壊の威力 −2009年台湾小林村−

  はじめに
  台風モラコット
  崩壊の概要
  崩れやすい構造
   ・褶曲と断層
   ・楔型の構造
  重力による岩盤の変形(岩盤クリープ)
  小起伏な尾根の縁
  岩石の風化
  崩壊の堆積物
  天然ダム
  たった95秒間のできごと
  地層の座屈と深層崩壊

<第2章> 深層崩壊の予測の可能性 −2011年紀伊山地−
  多発した深層崩壊
  何が起こったのか
  崩れる前の地形が見える
  驚くべきレーザーの威力
  地質
  合計39個の深層崩壊の発生前の地形
  深層崩壊のリアルタイム検知
  雨がどれだけ降ったら発生するのか
  明治22年十津川災害の再来

<第3章> 世界遺産「熊野」 −悠久の歴史と深層崩壊−
  狐に化かされた
  ち密な調査・研究の開始
  中原川
   ・地質
   ・古地形面と谷中谷
   ・斜面の重力変形
  熊野川流域に広がる古い地形面
  古地形面の縁が崩れ落ちていく
  九州も四国も
  台湾も

<第4章> 河の侵食と重力で壊れていく岩盤
  重力変形斜面の解剖器具
   ・良く切れるメス−高品質コア採取ボーリング
   ・内視鏡−ボアホールカメラ
  不規則な凹凸とぽってり山の中身
   ・岩石の破砕タイプの分類と相互関係
  テクトニック断層とノンテクトニック断層
   ・斜面内部の構造
  すべり層の発達と「地すべり」「深層崩壊」の準備

<第5章> 巨大内陸地震と深層崩壊 −2008年中国ウエンチュアン地震
  はじめに
  地質と地形
  逆断層の上盤が崩れる
  谷中谷
  炭酸塩岩の溶食と崩壊
  北川で起こったこと
   ・中学校を襲った崩壊とみかけの正断層
   ・風化千枚岩の岩盤すべり
   ・唐家山の崩壊
  谷埋め堆積物の土石流
  歴史上最大規模の崩壊(大光包)
   ・崩壊源の輪郭
   ・堆積物
   ・すべり面
   ・予測できたか?
  2番目に大きな崩壊−下部切断
  天然ダム

<第6章> 地震による降下火砕物の突然の崩壊 −東日本大震災−
  はじめに
  崩壊の分布
  初対面の崩壊地との対話とスケッチ
  福島県白河市葉ノ木平
   ・概要
   ・崩壊源
   ・すべり面
   ・すべり面のできた層よりも下の層は?
   ・堆積物
   ・移動の挙動
  福島県白河市白沢
   ・概要
   ・崩壊源
   ・堆積物
  2009年パダン地震
   ・研究のメド
   ・崩壊の分布
   ・崩壊地の構成物の特徴
   ・ハロイサイトの形成
   ・なぜ,そこに発生?−作業仮説と調査の進行

<第7章> 深層崩壊発生場所の予測
  前兆のないものは物質の分布から
  降下火砕物の地震による崩壊
   ・すべるものの存在
   ・弱層の存在
   ・斜面に平行な層構造と下部切断
   ・斜面の向き
   ・どこが崩れるのか
   ・斜面の下のどこまでが危険なのか
   ・地震の前の降雨
  危険な重力変形斜面
   ・小崖
   ・重力変形斜面の下部崩壊
   ・滑落崖と下部斜面の膨出
   ・斜面下方からの支え
   ・重力変形斜面の直線的側部境界
   ・対岸衝突地すべりの下部切断
  比較的安定な重力変形斜面
   ・山向き小崖(曲げトップリング)
   ・山頂の陥没と山体の側方拡大

<付 章> ヨーロッパアルプスの山体重力変形と深層崩壊旅行記
  氷河
  重力による斜面変形の草分け
  ゲパッチダム(Gepatch dam)
  フリムス(Flims)−世界第3位の巨大な崩壊
  ゴルダウ(Goldau)
  ランダ(Randa)
  シエレ(Sierre)の崩壊
  ラ・サクセ(LaSaxe)の地すべりと巨大な山体重力変形

 あとがき
  台湾の深層崩壊プロジェクト
  「当然のこと」と「地質の素養」
  定性と定量
  ない袖は振れない
  一見役に立つ研究と役に立たない研究
  侵食輪廻と小起伏面の呪縛
  野外科学における発見的研究
  研究の目処と学生の研究テーマ
  メディアと映像の威力
  災害は突然やってくる
  ヨーロッパ地球科学連合と日本の地球惑星科学連合
  自然は美しいもの
  ヨーロッパアルプスの山間地と日本の山間地
  文章を書く勢い
  夏の学校
  百聞は一見に如かず
  大学研究者の役割
  締めくくり

 謝 辞
 参考文献

【著者略歴】
千木良 雅弘 (ちぎら まさひろ)
1955年
1978年
1980年
1981年〜1997年
1997年〜2020年


2020年3月

2020年4月
2020年7月〜
群馬県生まれ
東京大学理学部卒業,
同大学院修士課程修了,
(財)電力中央研究所勤務.
京都大学防災研究所(地盤災害部門・山地災害環境研究分野)教授,京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻教員を兼ねる.
京都大学防災研究所(地盤災害部門・山地災害環境研究分野)を定年退官
公益財団法人 深田地質研究所 常勤理事に就任.
公益財団法人 深田地質研究所 代表理事・理事長に就任.
現在に至る。
平成22年度〜平成25年度 日本応用地質学会 会長を歴任.

専 攻 応用地質学
(論文) 「岩盤クリープによる岩石の長期的重力変形」により1987年理学博士(東京大学)他論文多数
(受賞) ○「結晶片岩の岩盤クリープ(その1,2)」により1986年に日本応用地質学会学会賞を受賞
○「泥岩の化学的風化−新潟県更新統灰爪層の例−」により1989年に日本地質学会研究奨励賞を受賞
○深層崩壊の準備過程と発生場所予測に関する研究により,平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞
著 書 『風化と崩壊』(1995年,近未来社)
『災害地質学入門』(1998年,近未来社)−改題新版により絶版
『群発する崩壊』(2002年,近未来社)
『崩壊の場所』(2007年,近未来社)
『深層崩壊』(2013年,近未来社)
『写真に見る 地質と災害』(2016年,近未来社)
『災害地質学ノート』(2018年,近未来社)
共 書 島崎英彦,新藤静男,吉田鎮男編『放射性廃棄物と地質科学−地層処分の現状と課題−』(1995年,東京大学出版会,共著)



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