自然科学書出版  近未来社
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これからの自費出版 −虎の巻−

まえがき

 「どうしたら,本を安く作ることができるのでしょうか?」
 「どうしたら,自分の満足のいく本を作ることができるのでしょうか?」

 おそらくこの二つのことが,本を書きたい・作りたいと考えておられる方々に共通した思いではないでしょうか。確かに,本を一冊作るためには相当なお金を必要とします。しかし,本を作られようとするあなたが努力し動きさえすれば,その額を減価の方向に持っていくことは可能なのです。「努力と行動」の中身については,本書の各所で述べていますが,この考え方の輪郭だけでもお知りになりたい方は,まず初めに,終章「自装出版への招待」から入られることをお勧めしておきます。

 また,良書を作り上げたいと真剣に思われるのであれば,何ごとも業者さんに任せっきりにしておくのではなくて,ご自身の本作りに賭ける率直な思いをそのつど制作担当者に対してぶつけていくくらいの気概を持たれて事に当たられることが大切です。そこで生まれる対立は,さわやかな対立です。望ましい形の対立です。この素晴らしい対立・緊張関係こそが良書を生み出す力となりえるのです。

 本書は,依頼者の方が制作経費の全額を負担していかれる自費出版(これを私は,古典的な自費出版と呼びます。)を真剣に考えておられる方のために,どうしたら安全で経済的な自費出版を実現していくことができるか,に焦点を当てて執筆したものです。

 私個人がこれまで本の作り手として常々考えてきたこと,気をつけてきたことなどを分かりやすく説明していますので,初めて自費出版に挑戦されようとしておられる方々にも,容易にその内容を理解していただけることと思います。

 また本書では,作られた本を販売したい方のために,「あまりお金をかけなくても済む方法」のいくつかを相当な紙幅を割いて紹介しています。これらの解説もぜひ参考にされて,できる限り経費をかけない販売方法を模索していっていただければ幸いです。

 本書の中に,自費出版をされる際の手助けになるようなことがひとつでもあって,そのことによって救われる方がお一人でも現れることを祈念して,ここに拙筆をおくことといたします。

 2010(平成22)年 2月
著  者