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南海地震全過程
The entire process of the Nankai earthquake

A5判(上製)・272頁 定価 3,850円(税込)
ISBN978-4-906431-57-1〔初版発行日/2025.12.15〕
Key Words 
南海トラフ地震・南海地震・東南海地震・長期上下変動・井水涸れ・海水位変化・深部ゆっくり滑り・断層活動・地震活動・発生確率・地震予知・地震情報・滑り予測モデル・準備過程

From the text
 1995年1月17日,兵庫県南部地震(M 7.3)が発生,その5年後には同じ規模(M 7.3)の2000年鳥取県西部地震が発生した.地震学者の誰もが,西南日本は地震の活動期に入ったことを実感していた.そして活動期は次の南海地震が近づきつつあることを感じ取っていた.これらの地震発生までは,筆者は地震の成長過程に関心を持ち研究を行っていたが,この頃から南海地震の研究や観測を始めなければと,強く思うようになった.南海地震そのものの研究はそれまでにも多くなされていたが,その前に何が起こっていたかはほとんどわかっていなかった.時代が戦中・戦後で,計測機器による観測データがなかったことも研究がすすめられなかった理由である.そのころ筆者の記憶には地震学会誌に掲載された昭和南海地震直前の井水涸れに関する論文があった.私個人は「井水涸れは前駆現象としては怪しい」と思っていた.しかし,研究を始めると言っても他に取り付く島もなく,地下水に詳しい地殻変動の研究者に相談を持ち掛けた.ありがたいことに同僚の尽力のおかげで井水涸れの情報がたくさん集まり,それが井水涸れのメカニズム解明の基になった.

 はじめに

章 標準的な南海トラフ地震像
  1.1 プレート運動と南海トラフ地震
  1.2 繰り返す南海トラフ地震
  1.3 標準的な上下変動パターン

2章 長期上下変動
  2.1 四国の長期上下変動
    2.1.1 ふたつの機関による3つの資料
    2.1.2 調査値と測定値の違いの意味
    2.1.3 地理院と水路局のデータを繋ぐ
    2.1.4 四国の上下変動図とその意味
  2.2 紀伊半島の長期上下変動
    2.2.1 上下変動図を描く方法
    2.2.2 上下変動図の意味
    2.2.3 潮位データから上下変動図を修正
  2.3 基の資料について
    2.3.1 国土地理院の資料
    2.3.2 水路局の測定資料
    2.3.3 水路局の調査資料
    2.3.4 検潮データによる上下変動
    2.3.5 測定値と調査値についての解釈
  2.4 変動勾配の変化は何を意味するか
    2.4.1 小さすぎる変動勾配
    2.4.2 固着の幅に依存する変動勾配
    2.4.3 固着域が滑る時期と上下変動量
    2.4.4 長期上下変動に関するまとめと課題

3章 本震直前に井戸水減少
  3.1 井水涸れのこれまでの研究
    3.1.1 目撃証言の資料
    3.1.2 目撃証言の例
    3.1.3 定性的な説明
  3.2 謎の多い井水涸れ
    3.2.1 井戸の水位低下量が大きい
    3.2.2 涸れた井戸の数が少なすぎる
    3.2.3 分布の問題
  3.3 謎を解く鍵は
    3.3.1 地形の特徴
    3.3.2 三角州の地下水構造
    3.3.3 僅かな土地の隆起で
    3.3.4 井戸水が涸れた
  3.4 重要な条件
    3.4.1 淡水の供給がない
    3.4.2 水位勾配
  3.5 海洋潮汐の影響,地震後の水位
    3.5.1 海洋潮汐の影響は?
    3.5.2 地震時と地震後

4章 本震直前の上下変動
  4.1 隆起・沈降の大きさの推定
    4.1.1 隆起量の推定
    4.1.2 異なる帯水層では
  4.2 沈降の場合
    4.2.1 沈降量の推定
    4.2.2 地震前に「井戸水が増えた」という証言がないのはなぜか
  4.3 井戸涸れの時間経過と先行日数
    4.3.1 井戸涸れの時間経過
    4.3.2 井戸涸れの先行日数
    4.3.3 井水涸れは複数回あった
  4.4 深部ゆっくり滑りと井水涸れ

5章 本震直前の海水位変化
  5.1 目撃証言の例
    5.1.1 目撃証言の資料
    5.1.2 振動性を示唆する証言
    5.1.3 海水位の異常低下
    5.1.4 海水位の変化は目撃せず
    5.1.5 土佐清水の潮位記録
  5.2 何が起こっていたか.
    5.2.1 気象状況
    5.2.2 津波だったのか
  5.3 須崎湾での海水位観測
    5.3.1 海水位観測
    5.3.2 場所による波高の違い
    5.3.3 周期の特徴
  5.4 本震直前の海水位変化を人工的に再現する
    5.4.1 天文潮位と地殻変動に伴う海水位変化
    5.4.2 疑似津波波形を作る
    5.4.3 直前の推定海水位
    5.4.4 難しい海底地殻変動の推定

6章 海水位の変化から推定される東南海・南海地震の断層
  6.1 1944年東南海地震の断層モデル
    6.1.1 基データと断層の設定条件
    6.1.2 海水位変化から求めた断層モデル
  6.2 1946年南海地震の断層モデル
    6.2.1 ヒンジラインの新たな設定
    6.2.2 紀伊半島東岸でも断層運動が
  6.3 他の断層モデルとの比較
    6.3.1 東南海地震の断層モデルの比較
    6.3.2 南海地震の断層モデルの比較
  6.4 紀伊半島東岸の断層運動
  6.5 四国西部と土佐湾の断層運動

7章 本震直前のゆっくり滑り
  7.1 ゆっくり滑りはどこで起きていたか
    7.1.1 井水涸れを引き起こした直前の滑り
    7.1.2 近年起こっているゆっくり滑りとの位置関係
  7.2 ゆっくり滑りの時間発展
    7.2.1 類似する近年の上下変動速度
    7.2.2 変動を曲線で近似する
    7.2.3 近似曲線の勾配の検証
  7.3 半島の先端では本震直前に変動が反転したか
    7.3.1 潮位が示す土佐清水の隆起
    7.3.2 紀伊半島と室戸岬では
    7.3.3 プレート境界浅部での滑りと海水位変化
  7.4 直前のゆっくり滑りと本震との関係
    7.4.1 ゆっくり滑りと破壊開始との関係
    7.4.2 ゆっくり滑りは本震を巨大化させた
  7.5 7章のまとめ

8章 異常な現象はどのくらいの頻度で起こるのか
  8.1 海水位の低下
    8.1.1 調査の方法
    8.1.2 異常は串本で1回
    8.1.3 高知でも
  8.2 振動性の海水位変化
    8.2.1 調査の方法と結果
    8.2.2 残るのは1件
  8.3 井水涸れ
  8.4 目撃された異常潮位
  8.5 高知県が収集している宏観異常現象
  8.6 8章のまとめ

9章 安政南海地震の前にも
  9.1 海水位の変化
    9.1.1 仁井田神社の碑文
    9.1.2 海陽町の二つの文書
    9.1.3 浦戸湾
    9.1.4 その他の地域
    9.1.5 大きな余震の前にも海水位変化があった
    9.1.6 海水位変化はあったが大きな地震は起こらなかった
  9.2 井戸水の変化
    9.2.1 調査の概要
    9.2.2 和歌山県広川町
    9.2.3 徳島県香南市
    9.2.4 高知県土佐清水市
    9.2.5 地震の前に井戸水は減らず
    9.2.6 宝永地震の前にも
  9.3 天候
  9.4 9章のまとめ

10章 随伴現象
  10.1 安政南海地震の時の音と地鳴り
    10.1.1 音は地震だった
    10.1.2 野根でも本震前に地震
  10.2 昭和南海地震の前にも
    10.2.1 昭和南海地震の海鳴りと地震
    10.2.2 潮岬で観測された地震
    10.2.3 音と地震を捉えるために
  10.3 浦戸湾の「孕みのジャン」
    10.3.1 孕みのジャンとは
    10.3.2 ジャンは南海地震の前か
    10.3.3 ジャンを捉えるために
  10.4 本震前の海水汚濁
    10.4.1 海水の汚れと漁獲
    10.4.2 汚濁の元は土佐湾か
  10.5 鈴波について
  10.6 その他の現象
    10.6.1 発光現象,本震後の漁獲
    10.6.2 気温
  10.8 10章のまとめ

11章 前駆現象の評価と前半のまとめ
  11.1 安政東海地震、昭和東南海地震の余効変動か
  11.2 臨海状態の場
  11.3 前駆現象はいつも出現するか
  11.4 南海地震発生までのまとめ

12章 本震時の上下変動
  12.1 四国外周の上下変動
    12.1.1 上下変動図を描く
    12.1.2 基準点と測量期間について
    12.1.3 四国外周の変動の特徴
    12.1.4 海水位変化から求めた上下変動
  12.2 上下変動の地域毎の特徴
    12.2.1 井ノ岬付近の部分的隆起について
    12.2.2 四国縦断の上下変動
    12.2.3 南海トラフに平行方向にも褶曲的変動が
    12.2.4 トラフ平行方向の変動も本震に伴ったのか
    12.2.5 なぜ東西にも沈降の波ができるのか
  12.3 紀伊半島の上下変動
  12.4 12章のまとめ

13章 上下変動の時間変化
  13.1 土佐湾奥では本震直後に反転隆起
    13.1.1 高知市の急激な反転隆起
    13.1.2 須崎でも本震直後から隆起
    13.1.3 反転隆起は広域に
  13.2 四国北部は遅れて沈降
    13.2.1 四国北部の沈降
    13.2.2 沈降はいつから始まったか
    13.2.3 高松の検潮記録
    13.2.4 深部ゆっくり滑りの拘束条件
    13.2.5 深部ゆっくり滑りモデル
  13.3 半島の先端では
  13.4 上下変動の長期変化
    13.4.1 室戸の長期上下変動
    13.4.2 串本の長期上下変動
    13.4.3 高知の長期上下変動
    13.4.4 四国南西部の長期上下変動
  13.5 13章のまとめ

14章 海水位の変化−津波−
  14.1 津波高と断層運動
    14.1.1 津波の高さ(津波高)
    14.1.2 津波の到達時刻から見える断層運動
  14.2 津波高と浸水域
    14.2.1 高知市浦戸湾と須崎市野見湾の津波
    14.2.2 津波上陸後の浸水域と津波高
  14.3 反転隆起の補正は必要か

15章 井戸水及び温泉
  15.1 本震後の井戸水の変化
    15.1.1 本震直前に涸れた井戸の本震後
    15.1.2 実際に井戸の水位は戻ったのか
    15.1.3 広域の井戸水の変化
  15.2 井戸水の回復,温泉
    15.2.1 津波の影響
    15.2.2 井戸水の回復
    15.2.3 温泉の湧出変化
  15.3 15章のまとめ

16章 地震活動
  16.1 南海地震前後の地震活動
    16.1.1 基データと領域設定
    16.1.2 1944年東南海地震以前の広域地震活動
    16.1.3 1944年東南海地震から1946年南海地震まで
    16.1.4 南海地震の余震と誘発地震
  16.2 地震活動の特徴
    16.2.1 大きな滑り域では余震が起こっていない
    16.2.2 静穏期と活動期は認められるか
    16.2.3 三重県南東沖の地震
    16.2.4 異なる応力場
  16.3 16章のまとめ

17章 南海地震の発生確率
  17.1 高い地震発生確率
    17.1.1 地震発生確率の求め方
    17.1.2 決め手は地震の発生間隔
    17.1.3 時間予測モデルの採用
  17.2 問題の多い地震発生確率
    17.2.1 室津港の隆起量は滑り量を反映していない
    17.2.2 滑り予測モデルと時間予測モデル
    17.2.3 南海トラフの巨大地震に適用すべきは
    17.2.4 滑り量を採ってみたら
  17.3 なぜ高い発生確率のままなのか
    17.3.1 南海トラフ地震もM9を想定
    17.3.2 宮城県沖地震とM9の超巨大地震
  17.4 17章のまとめ

18章 地震予知と地震情報
  18.1 地震予知と大震法成立の背景
    18.1.1 関東・東海地域の活発な地殻活動
    18.1.2 社会的背景の影響を受ける情報
    18.1.3 異常があっても地震は起こらず
  18.2 地震情報の発信
    18.2.1 地震情報を発信する主な機関と情報
    18.2.2 気象庁発表の南海トラフ地震の情報
    18.2.3 気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュード
  18.3 難しいゆっくり滑りの判断
    18.3.1 ゆっくり滑りによる「調査中」
    18.3.2 歪観測点の配置について
    18.3.3 情報を受け取る
  18.4 18章のまとめ

19章 臨時情報が発表された
  19.1 情報発表と受け手
   19.1.1 臨時情報(巨大地震注意)が発表された
    19.1.2 臨時情報を受けて
  19.2 危険な地震と情報発表の条件
    19.2.1 日向灘の地震の危険度は?
    19.2.2 紀伊半島沖で起こる危険な地震
    19.2.3 臨時情報の発表頻度
    19.2.4 臨海状態を知るために
  19.3 19章のまとめと地震学からの提言

20章 滑り予測モデルと前駆現象
  20.1 歴史上の南海トラフ地震
    20.1.1 滑り予測モデルに従えば
    20.1.2 経過年数が地震規模を決める
    20.1.3 1605年慶長地震
  20.2 前駆現象が現れない南海トラフ地震
    20.2.1 臨界状態とは
    20.2.2 巨大地震ほど前駆現象は現れにくい

21章 次の南海地震に向けて
  21.1 異常現象と準備過程
  21.2 準備過程の進展を捉えるために
  21.3 取り組むべき地震予知研究
    21.3.1 基本となる観測研究
    21.3.2 地域自治体でも
    21.3.3 重要な目撃証言
  21.4 地震予知研究の立ち位置

あとがきと謝辞
付  表
資料編
引用文献
用語索引


【著者略歴】
梅田 康弘
(うめだ やすひろ)
1943年
1966年
1967年
  同 年
1990年
1999年
2001年
2007年
  同 年
2014年
  現 在
京都府生まれ
岡山大学理学部物理学科卒業
京都大学大学院理学研究科 修士課程退学
京都大学理学部助手
京都大学防災研究所助教授
京都大学防災研究所教授
同研究所 地震予知研究センター長(2001年4月〜2005年3月)
京都大学定年退職
産業技術総合研究所研究員
同研究所退職
京都大学名誉教授,日本地震学会名誉会員,京都大学理学博士
〔委員等〕
 地震予知連絡会委員(国土交通省 国土地理院)
 (1999年4月〜2005年3月)
 地震調査研究推進本部 地震調査委員会委員(文部科学省)
 (2004年4月〜2007年3月)
〔著作〕
 「地震情報を読み解く」(ISBN978-4-9913121-0-6)
 発行所:特定非営利活動法人 阿武山地震・防災サイエンスミュージアム
 (2023.10.8)
 〈阿武山まんてんてらこやシリーズ1〉



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